このシリーズでは、野球の道具について取り上げていきます。
竹バットは硬式野球の世界ではよく見ることができるのですが少年軟式の世界で使いメリット等はあるのでしょうか?
少年(学童)野球で竹バットを使うメリットとは?
このシリーズでは、野球の道具について取り上げていきます。
今回のテーマは「少年野球における竹バットのススメ」です。
そもそも「竹バット」とはどんなバットなのか?
現代のバットの素材は、「木材」「金属」「それ以外(FRP、ウレタン等)」に大別されます。
その中でも「木製バット」については、古くからバットに最適な素材として使用されてきたアオダモ、それに近い種類のホワイトアッシュ(アメリカタモとも呼ばれる)、堅く弾きが良いとされるハードメイプルなどが主に使われています。
近年では元北海道日本ハムファイターズの田中賢介選手が、北海道産ダケカンバから作られたバットを公式戦で使用し、ヒットを打ったことも話題になりましたね。
さて、これら木製バットですが、試合で使われるものは「1本の角材」を削って作られているものがほとんどです。
団体によっては使用可能な木材がルールで決められている場合もあり、例えばNPBと大学硬式野球では「1本の木から出来ていること」、社会人硬式野球では「木片ないし竹の接合バットの使用も可」となっています。
ここで登場した「竹の接合バット」という言葉。
皆さんが「竹」と聞いてイメージするのは、「竹取物語」のワンシーンのように、節があって中が空洞で、といった感じでしょう。
「竹バット」は、まさにその竹材を細長く加工し、接着剤で圧着して角材のようにしてからバットの形に削って整えたものです。
竹バットの特徴とは
では、その竹バットには、通常の木製バットと比べてどのような特徴があるのでしょうか。
一般的に木製バットは、金属バットに比べるとバランスがトップ寄りで、かつ芯も狭いため、芯でボールを捉えることが難しく、かつ芯を外すと衝撃をダイレクトに受けてしまい、最悪の場合折れてしまいます。
また、木材の特性上、一定以上の強度を確保するために、軽くすることが難しいため、必然的に重めのバット(硬式用の84cmだと軽くても870g程度)が出来上がることになります。
竹バットも通常の木製バットに近い性質を持ちますが、芯は木製バットよりも更に狭いとも言われています。
これらをまとめると、竹バットは「極端に使いにくい木製バット」であると表現できます。
竹バットを使うメリットとは?
さて、そんな使いこなすことが難しい竹バットですが、実際に現場、特にアマチュア硬式野球の練習を見てみると、少年から社会人まで積極的に取り入れられているのを目にすることができます。
どういったメリットがあり使用されているのか、いくつか挙げていきましょう。
ボールを芯で捉える練習に効果的である
先述の通り、木製バットは金属バットに比べると芯が狭く、また芯を外した際の飛距離も金属バットに比べ大きく劣ります。
根っこで詰まらされてバットが真っ二つになり、打球はボテボテの内野ゴロ……というシーンは、プロ野球であっても珍しくはありません。
そこで、芯が極端に狭い竹バットを普段からティーバッティングやフリーバッティングで使うことで、どんな素材のバットでもしっかり芯でボールを捉える技術を身に着けることができます。
ボールを芯で捉える練習に効果的である
竹は非常に生長の速い植物であり、資源量も豊富であるため、安価で流通しています。
一方、一般的な木製バットに使われる木材は、バットとして使うのに適した部位・形状・重量であることが求め厳選されたものであるため、どうしても価格が上がってしまいます。
硬式用木製バットであれば、比較的安価な北米産ハードメイプル製のもので安くて1万5000円前後、今や希少材であるアオダモともなれば、数万円にも達してしまいます。
それらに比べ、竹バットは一般用であっても数千円から購入が可能なため、折れてしまった際の買い替えもしやすく、経済的なメリットもあります。
筋力トレーニングにも効果的
これは通常の木製バットにも言えることですが、金属バットに比べ、木製バットはバランスがトップ寄りのものがほとんどです。
そのため、上半身・下半身両方の筋力がしっかりしていなければ、理想のフォームで振り抜くことが難しくなります。
普段から木製バットでスイングし、力強い打球を飛ばせるようになっていれば、芯が広く反発力も高い金属バットで打った時に更に強い打球を放てることが期待できます。
以上のような理由から、竹バットは練習用のバットとしては非常に適しているといえます。
少年野球における竹バット導入のメリット
では、いよいよ本題です。
「少年野球において、竹バットを練習で使うメリット」とはどのようなものでしょうか?
まずは硬式野球のケースから見ていきましょう。
少年硬式野球の場合、中学硬式や高校硬式と比べ、「いきなり硬式から始める」パターンが多いのが特徴です。
そのため、軟式特有の飛ばし方に合わせたスイングが出来上がっていないので、「変な癖がつく前に硬球の打ち方を体に染み込ませる」ことが可能です。
その際に竹バットを使用すれば、より芯が広く重量も軽い金属バットに比べ、先述したように「しっかりと全身を使ってスイングする」ことが身に着き、体が大きくなっていくにつれ、バットが長く重いものになっても、また投手の球速が上昇していっても、それらに対応して力強い打球を飛ばせるようになることが期待できます。
体が小さく、また筋力の弱い子であっても、素振りやティーバッティングでの使用から始めるのがおすすめです。
一方の軟式野球での竹バットのメリットははどうでしょうか?
軟式球は硬式球に比べ柔らかく、バットの芯を外した時の衝撃も硬式に比べると小さなものです。
とはいえ、バットの芯でボールを捉えることや、スイングスピードを上げることなどの重要性は硬式と変わりありません。
軟式球であれば芯を外した際にバットが折れてしまうことも少ないため、試合を除いた、フリーバッティング、ケースバッティングといった、より実戦に近いスイングをする練習での使用も早い段階から行っても良いかもしれませんね。
ただし、軟式球の特徴として、硬式球に比べ「芯を外してもそれなりに飛ぶ」というものがあります。
これは竹バットであっても、他の木製バットであっても同じであるため、芯で捉えた時の感覚を養うことが硬式球に比べると難しいかもしれません。
そういう意味では、硬式での使用に比べると、「ボールをバットの芯で捉える練習」よりも、「重いバットを使って体を鍛える練習」にどちらかといえば比重があるかといえます。
なお、まだまだ体の出来上がっていない小学生レベルの選手ですから、体に合わない重さや長さのバットを使うことは、バッティングフォームの崩れや、最悪の場合故障に繋がってしまいます。
その点は、指導者がしっかりと注意を払い、各選手に合った練習方法・バットの選び方などをアドバイスしてあげる必要がありますね。
少年野球であれば、体格に合わせて概ね2年くらいでバットの買い替えが必要になるケースが多いため、先輩が使っていて短くなった竹バットをお下がりにもらう、またはチームバットとして2cm刻みくらいである程度まとまった本数の竹バットを用意して団員に練習用として貸し出す、などのやりくりが考えられます。
おわりに
今回は少年野球における竹バットの効果についての話題を取り上げました。
皆さんの参考になる部分はありましたか?
「こんなテーマを取り上げて欲しい」といったご要望がありましたら、コメント欄にてリクエストをお願いします。
最後までお読みいただきありがとうございました。