少年野球と聞くと小学生が行う野球をイメージすることが多いと思いますが、正確には学童野球が正しい呼び方になり、中学生が行うものが少年野球となります。
ですが、この学童野球も少年野球も軟式野球であり、硬式野球の場合は軟式に比べて競技人口が少なく、ボーイズリーグ、リトルシニアリーグ、ヤングリーグ、ポニーリーグ(小学生高学年はブロンコリーグ)、フレッシュリーグといった6リーグとなっています。
現在はあまり行われていませんが、中学生以下の硬式野球の場合は胸とかに当たった場合プロテクターなども使用さえる場合があります。
日本ではあまり一般化しませんでしたが、海外だとソフトボールなどはフェイスガードなどが一般化したり、一部の小学生の硬式野球、リトルリーグでは使用されているのをみたことがあります。
バッター用のプロテクターですが軟式野球でも導入の機運はありましたが、使っているチームはごく一部になりました。
素人目にも軟式ボールよりも硬式ボールだと当たったら痛い、危なそうなどと思うのですが、実際に硬くて重い硬式球です。
当たれば痛いし同じ当たった場合でも軟式球よりも怪我につながるリスクは高いといえます。
また、体の出来上がっていない中学生・小学生の場合、成長期の怪我が後遺症につながるなんてこともあります。
そこで今回は野球をプレーする子供たちが持つ傷害リスクについて解説いたします。
軟式野球・硬式野球のボールの違いは?
軟式野球用のボールは、2018年まではA号・B号・C号の3つの規格がありましたが、2018年以降、A号とB号は統一されM号へC号はJ号に変更となりました。
重量 | 直径 | 反発の高さ | |
硬式野球ボール | 141.7~148.18g | 72.93~74.84 | 48~55cm |
軟式野球ボールM号 | 138±1.8g | 72±0.5mm | 80±10cm |
軟式野球ボールJ号 | 129±1.8g | 69±0.5mm | 70±10cm |
旧軟式野球ボールA号 | 136±1.8g | 72±0.5mm | 95±10cm |
旧軟式野球ボールB号 | 135±1.8g | 70±0.5mm | 90±10cm |
旧軟式野球ボールC号 | 128±1.8g | 68±0.5mm | 75±10cm |
これとは別に硬式球により近い設計がされた軟式球のKボール、中身は硬式球だけど表面をゴムにした準硬式球もあります。
この2018年の規格変更に伴い規格化されたM号は、A号と同じ72±0.5mmであり、A号からはサイズは変わらず、B号からは少しサイズアップしました。
重さはA号からだと2g、B号からだと3g重くなった138±1.8gになりました。
逆に反発高さは15cm程小さくなり弾みにくくバウンドは低くなりました。
J号も同様に、C号より1cm大きくなり、69±0.5mm、重さも1g重くなり129±1.8gとされました。反発高さは5cm小さくなった70±10cmとなっています。
つまり、投げる場合には重くなったことから負担が少し大きくなりました。
また、反発高さが小さくなったことを裏返せば硬くなったということ。つまり、当たった場合には前の規格よりも痛く、怪我をするリスクは高くなったといえます。
硬式野球ボールの規格は?
一方で、硬式ボールの場合、軟式ボールと違い、規格は1種類となっています。
つまりプロ野球や社会人野球といった大人から高校生、小・中学生といった子どもまで規格は同じとなっています。
重さについては、141.7~148.8g、周囲は229mm~235mm、直径だと72.9~74.8mmが規格となっています。
直径は軟式のM号よりも大きく、重さもM号からだと最大10g近く重くなります。
つまり大人や筋肉が成長している高校生に比べ、小・中学生が硬式ボールを扱うのは重さ的にも負担があるといえます。
また、軟式ボールの場合、中は空洞となっていますが、硬式ボールの場合、コルクやゴムが内部にあり、その表面に皮を縫い付けています。
そのため、とても硬いのです。軟式と比較しても、当たったときの痛さの次元は比ではありません。
軟式野球と硬式野球の傷害の違い
ボールの違いにフォーカスして説明してきましたが、小学生の場合、まだ硬い球に耐えられる体は完成されていませんので、怪我のリスクは大きいかと思います。
プロ野球選手でも自打球やデッドボールを受けて悶絶するシーンを見ると、かなり痛いんだろうなと思います。
そのため、硬式ボールでの練習や試合では、軟式野球と比べても大きな怪我につながるリスクが高いことは念頭に置いておく必要があります。
また、ボールも投げ込みも肩や肘を壊す原因になります。
軟式球よりも重いボールです。軟式ボールであっても筋肉や体力のついていない子どもには負担になりますので、硬式ボールで投げ込みを行えば、当然肩や肘の負担は想像できるのではないでしょうか。
軟式野球は日本で出来たスポーツの為、海外では子どもの頃から硬式野球しかないという環境の国は実は多いです。
ですが、日本の場合は、怪我や故障のリスクの少ない軟式野球があります。そのため、硬式野球を否定するわけではありませんが、子どもが競技としてプレーするのであれば軟式野球がおすすめになります。
当たった時の痛みに恐れながら打席に立ったり守備に入る野球は、楽しくないことでしょう。
また、一度大きな痛みを経験してしまうと、それが子どもの精神であればトラウマになってしまい、最悪選手生命にも影響を与えるかもしれません。
そのようなことから、硬式野球の傷害としては、字のごとく肉体的に怪我をするということだけでなく、精神的にも怪我をしてしまうということも考えておくのがいいでしょう。
野球をすれば怪我をするが当たり前にならないように
軟式野球でも度の過ぎた練習を行えば、当然故障につながりますし怪我にもつながります。
ボールが柔らかいからと言っても怪我をしないということはないでしょう。
そのため、何のために野球をするのか、させたいのかということを考えたうえで、硬式野球をするのか、軟式野球をするのかを考えるといいでしょう。
硬式ボールに小さな時から慣らせておきたいということもあるかもしれませんが、ボールの違いへの順応にはそれほど時間はかかりません。
その辺りも含めてお子様にはどちらがいいのかを考えてみてはいかがでしょうか。