ピッチャーを始める時は、必ずといっていいほど、オーバースローから始めます。そして経験を重ねていく上で、自分に合った投球フォームに変更していくものです。
どのフォームが優れてるといったことは一概には言えません。しかし実はサイドスローが一番怪我をしにくいフォームと言われております。
サイドスローに転向すると肩肘の負担を減らせるのか?
野球には主に4つの投球フォームがあります。「オーバースロー」、「スリークウォーター」、「サイドスロー」、そして「アンダースロー」です。
投球する際の腕の角度によって異なるものであり、最初に挙げたものほど真上に近い所から腕を投げおろし、アンダースローでは、地面ギリギリの所から球を放ります。
そして、一番肩や肘に負担がかかるのは、オーバースローとされております。腕を自分の頭より高く上げることになるので、重量に一番逆らった投げ方になります。これは野球に限らず、肩を高く上げてスウィングするスポーツでは肩を故障しやすくなるのです。
逆に、ソフトボールのように下から腕を振るようなスポーツでは、肩や肘を怪我することが少なくなります。
「サイドスロー」や「アンダースロー」は、腕を一旦下げてから投げることになるので、肘や肩にはさほど負担がかかりません。どちらかというと下半身に負担がかかるので、この二つのフォームで投げる投手は、下半身を重点的に鍛える事が多くなります。
ピッチャーのサイドスローがケガしにくい理由とは
サイドスローが怪我しにくい理由を、もう少し具体的に説明しましょう。まず一つ目に、腕が肩より下になるので、肩に対しての負担が少ないことが挙げられます。
そしてテイクバックをした時に、腕を体の後ろへ引くことができるので、その反動で強い球が投げられるようになります。つまり同じ球を投げるにしても、肩の力だけに頼らなくてもよいのです。
また、同時に真上から投げる時に比べて肘を曲げる必要もありませんので、同時に肘への負担も少なくなります。逆にサイドスローであっても肘を曲げた投げ方をしてしまうと、故障につながってしまいます。
例えば元ヤクルトスワローズに所属していた、韓国のイム・チャンヨン投手は、サイドスローでありながら、球速が150キロを超えておりましたが、肘を曲げて投げておりました。それが負担となったのかは断言できませんが、結果的にトミージョン手術を受けることになりました。
つまり、サイドスローと言っても、肘を曲げてしまい腕が上に上がってしまっては意味がありません。いわゆるオーバーヘッドスローイングにならないように投球する必要があります。かつてプロ野球で長く活躍したサイドスローの投手の中で肘を大きく曲げて投げる人はほとんどおりません。
近年は、サイドスローの投手が減っている傾向にあります。特に先発投手にはあまり見られず、日本ハムの宮西投手やソフトバンクの森福投手のように中継ぎ投手に多くみられます。
やはり、一番球に力が伝わるのはオーバースローであり、また投げられる変化球も豊富なため、どうしてもオーバースローが選ばれやすくなり、また成績も残しやすくなるのです。
しかし、長く野球を続けるには、サイドスローは理想的な投球フォームと言えます。少年野球の頃はコントロールが悪い投手が転向を薦められることが多いのですが、もし長く野球を続けたい人は、自らサイドスローにチャレンジしてみるのもよいかもしれません。