ピッチャーの球速アップは少年野球からプロ野球選手のピッチャーの大きな課題です。
ここでは、ピッチングに必要な筋肉の解説を行って行きます。
ピッチャーの球速アップに必要な筋肉は？
ピッチャーの球速アップに必要な筋肉は？
ピッチャーにとって、生命線となるのが球速です。例えばプロ野球の投手であれば、平均球速として140km/h近くは投げられないと、活躍するのは難しいです。
昨今では、150km/h以上、160km/hを投げるピッチャーも出てきているほどです。
一方で、球のキレやコントロールで勝負するタイプのピッチャーもいます。例えば、現阪神タイガースの秋山投手などは、ストレートも130km/h台であり、たまに140km/hを投げる程度です。それでも打者を抑えられるのは、ベース上でも失速しないキレや四隅に決まるコントロールがポイントといえます。
すでに現役を引退した選手でも、元ヤクルトスワローズの成瀬投手や元日本ハムファイターズの武田勝投手などは、球速は130km/h台でしたが、キレやコントロールと合わせて独自の投球フォームもあってバッターを抑えていました。
ただこれらの選手は例外であり、ピッチャーとして活躍するためには、まずは球速アップを目指す必要があります。そのためには筋力アップは不可欠です。では、必要な筋肉はどこの筋肉でしょうか。
今回の記事では、ピッチャーが球速アップをするのに必要な筋肉について解説していきます。
ピッチングはフォームが大切！正しいフォームに筋力増強で球速アップ
ピッチングで球速を上げるためには、正しい投球フォームが大切です。ですが、140km/h以上の速球を投げるのであれば、4タイプある投球フォームの中でも、平均120km/h前半であるアンダースローでは難しいです。
速球を投げるためには、やはりオーバースローやスリークオーターのように、自分自身の筋力から発するエネルギーに合わせて、並進と上半身の捻りのエネルギーを利用する上手投げに近い投球フォームを用いる必要はでてきます。
送球のスピードを上げるためには、並進運動で効率良く重心を移動させ、前に踏み込んだ足で前に進む投球モーションの一連の流れが重要になります。
ボールを投げる動作とは、モーションの開始からボールが離れるまでの一連の流れと全身の個々の筋肉が連動している全身運動だといえます。
そのため、投球速度を上げようとすれば、関連する筋肉の強化が重要となるのです。
ピッチャーだから肩の筋肉や腕の筋肉だけが重要というわけではありません。
もちろん、肩の筋肉も腕の筋肉も投球に関連する部位ですのでピッチャーには必要な筋肉です。ですが、肩の筋肉だけを鍛えたからといってもボールの速度が上がるわけではありません。肩の筋肉だけを鍛えようと思っている方は、一度見直してみましょう。
ここからは、上半身・下半身に分けて、球速を上げるために必要な筋肉について解説します。
球速アップに必要なのは土台となる下半身の強化
球速を上げるためには、前に踏み込んだ足で前に進む体重移動をストップさせ、その際に発生する前に進もうとする並進力と上半身を前面に回転させる力を上手く腕に載せることが重要となってきます。
そのために必要となるのが下半身の筋肉のうち次の筋肉です。
・臀筋
・ハムストリング
まず大臀筋や中殿筋といったお尻の筋肉ですが、ピッチングの際に踏み込んだ足に対して体重を移動させるスピードに影響する筋肉になります。また、軸足で立った際のバランスにも影響しますので、ピッチングの最初から最後まで大きく影響する下半身の最重要的な筋肉といえます。
つぎにハムストリングですが、前に踏み込んだ際に足を伸ばすことで上体を起こす動作を行います。
また、軸足でプレートを蹴る際にも作用する筋肉ですので、体重移動を止めるブレーキの役割とそこから上半身に出力をアップさせる両方の働きを持つ大切な筋肉といえます。
これら、お尻から太ももにかけての筋肉は、スピードアップには欠かせない筋肉だといえます。
上半身の筋肉はここに注目！
次に上半身を見てみましょう。実は投げるという動作から肩や腕をイメージする肩が多いかもしれませんが、それだけではなく、多くの筋肉を鍛える必要があります。
・広背筋、大円筋などの背筋群
・上腕三頭筋
・前鋸筋
・腹筋群（腹直筋・腹斜筋・腹横筋）
球速を上げるためには、下半身から得た並進のエネルギーを上手く連動させて指先まで力を乗せながら伝えていかなければいけません。
まず広背筋や大円筋などの背筋群ですが、マウンドから足を踏み出し投球フォームに入っていく際に、背筋を収縮させることで腕を振り上げる際に必要になります。背筋群が弱いと、姿勢が前傾してしまったりすることから、上手く速度に反映させることができなくなります。
次に上腕三頭筋です。三頭筋は腕の裏側の筋肉ですが、投げる時に肘を伸ばす際に働く筋肉になります。三頭筋の働きが弱いと力強い投球につながりません。腕を振る際にパフォーマンスを最大化させるためには意識したい筋肉となります。
そしてあまり意識したことがないかもしれませんが腋から肋骨の両側についている前鋸筋です。
前鋸筋についてはリリースする際に最大出力を発揮する筋肉になります。
この筋肉が働かないと腕が体から離れたり、肩が安定しなくなりますので、怪我の予防や弓なりのフォームになるためにも欠かせない非常に重要な筋肉です。結果的にスピードがのらない原因になります。
そして腹筋群もとても重要です。投球動作でもフォームを安定させて体を支える働きがありますので、腹筋群もバランスよく鍛える必要性があります。
結果的には、下半身からの力を背筋の力で腕に伝え、腕の筋力と前鋸筋のサポートで最大化させるということになります。つまり、投げるからといっても腕や肩だけということではなく、胴の筋肉も必要だといえるのです。
意識したい体重移動
球速アップには正しいフォームに合わせた筋肉の強化が重要という話をしました。筋力強化は現状の体格や筋力によっても個人ごとで課題が変わってきます。
例えばレックカールして下半身鍛えたとしても、走り込みが足りずに大臀筋やハムストロングが思ったほど鍛えられていないという場合があります。また体格が小さいピッチャーが不利ではと思うかもしれません。
筋力と合わせて利用したいのが、体幹の体重移動です。踏み出した足に載せて体重を移動すると、どうしてもそこでエネルギーは殺されてしまい、ロスする可能性があります。しかし体幹ごと体重移動させるイメージだと、その移動エネルギーも球速に影響を与えられます。
球速が120km/h前後のピッチャーであれば、まずはフォーム、モーションを見直してみることで球速を上げることは可能です。その中で自分に足りない筋肉にアプローチすることでより速いボールを投げられるようになります。
