ポジション別に見た野球で消費するエネルギーにおいて、どのポジションが一番消費するかご存知でしょうか。
実は投手が一番エネルギーを使います。次に使うのが捕手、その次が内野手、最後が外野手です。
その差はかなりあり、投手の消費エネルギーは外野手の2倍以上あります。つまり、
投手1試合分のエネルギーは外野手2試合分のエネルギーに匹敵します。
これを見ればわかるように、いかに投手が疲労のたまりやすいポジションか大変よくわかります。捕手もわずかに低い値でしたが、こちらも相当疲労するポジションです。捕手のあの姿勢は普通に立ってるより疲れますから当然といえます。
では、なぜ野球において投手はそこまで疲労がたまりやすいのでしょうか。ピッチャーは、バッターに球を投げますが、この投げる動作でエネルギーを使います。
陸上のクラウチングスタートのようなことを投球ごとにやるようなイメージです。瞬発力つけて投げ出すあの動作に相当エネルギーを使います。
また、牽制球や投球練習など、野手でもストレッチをしたり、キャッチボールをしたりしますが、当然投手もそれをやった上で、かつ、そういったこともします。だから疲れるのです。
当然、ただ投げるだけではなく、精神的な疲れもピッチャーにはあります
野手が打席に立った際、バットを振る機会は1試合通して10回あるぐらいで、三振で終わるかもしれないと心配しながら打席に立つことはそんなになく、そういうプレッシャーにさらされるのは限られます。
しかし、ピッチャーは1球ごとにこうしたプレッシャーにさらされます。なので、野球のピッチャーはこうした精神的な疲れにも強くなければなりません。
外野手の疲れがそんなにないのは、守備において捕球態勢に時間があり、毎度毎度打球も飛んでこないので、内野手のように頻繁に動くことがないからです。
内野手は捕球までの時間がすぐである分、疲れも外野手よりかはありますが、それでもピッチャーには程遠い疲れです。1イニング投げても、その疲れは相当あるのです。
同じ1試合でも投手の疲労度は差がある!
野球において、投手は先発完投が理想形です。しかし、プロ野球においては、分業制として100球をメドに交代するケースが増え、ワンポイントリリーフや1回投げ切って次の投手に継投といった試合運びが主流になっています。
観戦してる人が試合で感じるものの数倍数十倍、プレーヤーは肉体的、精神的な疲労を感じています。
これが1試合のみならさほど疲労度は関係ありません。例えば日本シリーズのような短期決戦や優勝もしくはAクラスがかかった試合などでは無理を押してマウンドに立つ投手が多くいます。
2013年の当時楽天にいた田中投手は、日本シリーズ第6戦で先発した翌日の第7戦、9回に抑えとして登板し、胴上げ投手になっています。その時の負担は通常の数十倍と当時は言われていました。
ただ、楽天創設初の日本一がかかっていましたから気合いが違います。1試合2試合ならこうして無理はできますが、長いシーズンを戦うにおいて、疲労度はかなり重要となります。
若手選手はシーズン開幕からフルスロットルで飛ばしてしまうので、夏場手前から調子を落としがちです。
一方、外国人選手やベテラン選手は夏場に本調子が来るように春先はそこまでギアを上げません。中継ぎにも同様なことが言え、中継ぎに無理をさせて勝ってきたチームが夏場を境に一気に崩壊する光景は必ず見られます。
それほど疲れに対するケアは大事で、シーズン中どれだけ疲れをとることに務めるかが成績はおろか、現役生活を大きく左右します。
高校野球でも最近はエース級を数人育成し、疲れがたまらないよう神経を使っています。夏の甲子園でも準決勝や決勝で打ちこまれる投手の多くは蓄積された疲れが原因です。
この疲れをいかにケアするかが勝負の分かれ目になります。