はじめに
このシリーズでは、野球のルールや小ネタなどについて取り上げていきます。
第2回のテーマは「ポジションの決め方について」です。
野球のポジションの特徴・役割とは?
野球についてある程度の知識をお持ちの方にとっては「何を今更…」となるかもしれませんが、まずは改めて各ポジションについて確認していきましょう。
【投手・ピッチャー】
この人が動かなければ野球は始まりません。
試合の8割は投手で決まるとも言われている、非常に特殊なポジションです。
動作や練習法から起用法まで、他のポジションとは大きく変わってきます。
【捕手・キャッチャー】
他のポジションは打球を捕るのがメインなのに対し、捕手は投手の投球を受けるのが主なお仕事。
投手の能力を最大限に引き出せるような配球を考える必要もあり、バッターは実質的に投手ではなく捕手と勝負している、と言われることすらあります。
こちらもまた特殊なポジションといえます。
【一塁手・ファースト】
内野手であるので打球も飛んできますが、どちらかといえばこちらも他の内野手からの送球を受けるのがメイン。
反面、自分が送球することは少ないため、打撃力が重視されるポジションとよく言われます。
【二塁手・セカンド】
内野手の中では最も複雑な動きを要求されます。
一塁・二塁のベースカバーから、カットプレー、またチーム方針にもよりますが内野のポジショニング指示を行うこともあるなど、プレー全体を広く見渡す力が要求されます。
もちろん高い守備能力も必要です。
【三塁手・サード】
とにかく右打者の強い打球が飛んでくる、いわゆる「ホットコーナー」との別名もあるポジションです。
一塁まで距離があるので、肩の強さも求められます。
ただ、速い打球が多く、捕球さえしてしまえばあとはしっかり投げるだけのことが多いため、内野手の中では一塁手に次いで守備の負担は低く、こちらも打撃重視のポジションとされることが多いです。
【遊撃手・ショート】
内野手の中でも花形ポジションといえば、やはり遊撃手でしょう。
内野では左右に最も広い守備範囲を受け持ち、かつ一塁までの距離も長く、全ての守備能力が高いレベルで求められます。
まさに「内野守備の要」です。
【左翼手・レフト】
外野手の中では比較的守備の負担が少ないと言われているポジションです。
理由はサードと同じく、右打者の引っ張った速い打球が飛んでくることが多いため、打球を捕ることが最優先になるためです。
なので、こちらもどちらかといえば打撃力重視のポジションとして扱われるケースが目立ちます。
【中堅手・センター】
内野の花形がショートなら、センターは外野の花形です。
前後左右に広いエリアをカバーする必要があり、ランナーを次の塁へ進めないための素早い送球に強い肩、更にはレフト・ライトへの守備陣形の指示まで行わなければなりません。
逆に言えば、センターが上手ければ、レフト・ライトの守備にやや不安があったとしても、ある程度のカバーが可能であるとも言えます。
【右翼手・ライト】
ライトに求められるのは、まずはとにかく「肩の強さ」です。
三塁まで遠いため、ライトの肩が弱ければ、一塁ランナーはライト前ヒットで一気に三塁まで進んでしまいます。
また少年野球や女子野球ではライトゴロを取れるケースも多いため、こちらもライトの肩が重要になるでしょう。
【指名打者・DH】
基本的に高校以下のアマチュアでは採用されることはありませんが、近年は国際大会等で使われるケースもあるのでご紹介しておきます。
DHは投手の代わりに打席に立つ、完全な「打撃専門」のポジションです。
そう聞くと守備をしなくていい分、楽に見えるかもしれませんが、「攻撃」と「守備」の両方を普段こなしている選手にとっては、逆にリズムが狂ってしまうこともあり、決して簡単にいくわけではないようです。
よく「毎打席、代打で出るような感覚」とも言われます。
少年野球や軟式野球のポジションはどう決める? 上手い順?
さて、実際にチームでポジションをどう決めるか、となった時、どうすればいいのでしょうか。
実はこれには、決まり切った正解はありません。
ひとつ言えるとすれば、「打撃か守備かどちらかでチームの中心となる選手から配置する」ことになるでしょうか。
絶対的なエースが存在するチームであれば、自然と投手から決まりますし、守備の上手い捕手や遊撃手を軸にする、あるいは高い打撃能力を持つ選手を一塁手や三塁手、左翼手として起用するところからスタートする場合もあるでしょう。
また、チーム結成時や上級生の引退後などの新チーム始動時は、投手を含めた全てのポジションの再配置が行われることも珍しくありません。
その場合はどのように選手を置いていくのが良いでしょうか?
投手力を重視してポジションを組んでいく例を挙げてみましょう。
これは、抜きんでた実力を持つ投手が複数いる場合に考えられる方法です。
まず、エース投手と2番手投手(あるいは3番手以下も)を最優先に考え、投手と「投げない時のポジション」を決めます。
ここでは2番手投手は普段外野を守らせるとしましょう。
外野守備も上手い投手であればセンター、そうでなければレフトかライトです。
次に決めるのは、投手の能力を最大限に引き出せる捕手。
その次が、投手が打ち取った打球を確実にアウトにするためのセンターライン(ショート、セカンド、センター)に加え、内野送球を安定して捕球できるファーストを、起用したい選手の長所や本人の経験・希望などを考え配置していきます。
最後にサード、レフト、ライトとなります。
その上で、「エースが降板して、2番手が投げる時のポジション」まで決めておけば、より安心できるでしょう。
しかしながら、どのような選手起用をするかに関わらず、全てのポジションが選手の適正に沿った状態で埋まることは、強豪チームでもなければまずあり得ません。
その場合、打撃が良い、足が速い、肩が強いといった選手の長所を見極め、「ポジションありきで守備を鍛える」ことになります。
そのような方法を取らざるを得ないチームのほうが圧倒的に多いでしょう。
選手が豊富に揃っていたとしても、守備の要となるポジションに置ける選手がいない場合や、チーム内でどうしても使いたい選手のポジションが重複してしまっている時には、思い切ったコンバートを試みることも必要になります。
レギュラーを取れる能力のある下級生がいて、その選手がメインで守ってきたポジションに、動かしたくない上級生がいる場合はどうすれば良いでしょうか?
自然な考えをすれば、例えば下級生がショートだった場合はサードやセカンドに回す、センターだった場合はレフトかライトに回す、という形になります。
ですが、特に高校生以下の子供たちであれば、今までと全く違うポジションを守らせても、順応性が高くすぐにモノにしてしまう選手もたくさんいます。
そういう意味では、前例や慣習にとらわれず、「まずはとりあえず起用可能なポジションを守らせてみる」という、ある意味乱暴なやり方でもあまり問題は無いかもしれません。
ところで、先程も少し触れましたが、現在は複数の投手を使い分ける起用が一般的です。
2番手以降の投手が野手を兼任しているケースも少なくないですから、投手交代時に備えて、多くの選手が複数ポジションを守れるように準備させておくことも重要になります。
なお、これはポジション決めには直接は関係ありませんが、普段と違うポジションで守備練習に入ることは、守備連携等で別なポジションに入る人の動きや考えを理解する上でとても有効です。
選手たちにとっても良い刺激になるでしょうし、取り入れてみるのも一つの手ではないかと思います。
野球のポジション決め方のおわりに
今回はポジションの決め方についての話題を取り上げました。
皆さんの参考になる部分はありましたか?
「こんなテーマを取り上げて欲しい」といったご要望がありましたら、コメント欄にてリクエストをお願いします。
最後までお読みいただきありがとうございました。