野球のストライクゾーンに関して(プロ野球から少年野球まで)

目次

「野球のストライクゾーンについて」野球コラム

はじめに


このシリーズでは、野球のルールや小ネタなどについて取り上げていきます。


第1回のテーマは「野球のストライクゾーンについて」です。

ルールブックにおける「ストライクゾーン」とは?

普段、何気なくコールを聞いている「ストライク」ですが、その由来は「strike(打つ)」という意味の英単語にあります。


元々は、球審が「打てる球だから打て」という意味でコールをしたことから来ているそうです。


では、「ストライクゾーン」とは何なのでしょう?


公認野球規則には、「ストライクゾーンは、打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間点に引いた水平のラインを上限とし、ひざ頭の下部のラインを下限とする本塁上の空間をいう。このストライクゾーンは打者が投球を打つための姿勢で決定されるべきである」 とあります。


もうすこし分かりやすく書くと、高さは「バッターの肩の上とベルトのちょうど間~ひざ頭の下端」、幅は「ホームベースの幅」ということになります。


更に、「本塁上の空間」という言葉からもわかるように、五角形をしているホームベースの上部ならストライクゾーンとみなされます。

では「ストライクゾーン」の見分け方とは?


つまり、ストライクゾーンは「面」ではなく、奥行きを持つ「空間」なのです。


そして、このストライクゾーンをボールがすこしでもかすめていれば、審判はその投球に対し「ストライク」を宣告することができます。


よく「ストライクゾーンはホームベースの幅プラス左右ボール1個分」と言われることがあるのは、こういった理由からです。


しかし、打者の体格は様々で、前後方向から見た時に明確な枠があるわけでもない上、球審の目も100%確実なものではないため、プロレベルであっても球審の癖によりストライクゾーンにはそれなりの変動があるほか、捕手のキャッチングのスキルによってボール球がストライクに見えたり、あるいはその逆に、捕球時にミットが流れてしまうことにより、ストライクの球がボールに見られてしまったりすることもあります。


事実、近年では捕手がボール球をストライクに見せかける「フレーミング」という技術が注目されていますが、それに対して「審判の目を欺こうとする行為である」と、不快感を示す球審も少なくありません。

ストライクゾーンを図解すると?


それでは、改めてストライクゾーンを図解で説明しましょう。
まずは「高さ」についてです。

この画像のオレンジ色の領域が、概ねストライクゾーンの高さであるといえます。


高さはバッターの身長や体格によって左右されるため、身長が低ければ低いほどゾーンは狭くなり、ピッチャーは不利になるといえるでしょう。


次に、「幅」を見ていきましょう。

何の変哲もないホームベースです。


幅はホームベースが基準となるため、バッターがどんな体格であっても変わりません。


先程、「ベースをすこしでもかすめていればストライク」と説明しましたが、変化球がベースの角をほんの少し通る程度でもストライクが宣告されます。

こちらはベース上を通っていないのでボール

これはベースをかすめているのでストライク

そういう意味では、背が高い、腕が長いなどリーチのあるバッターは外角の球にも手が届きやすいメリットが生まれるといえます。


とはいえ、背の高い低いに関わらず、バッターとしては「自分のストライクゾーンをはっきり認識しておくこと」が大切であるため、このゾーンの広さに関しては、身長が低ければ四球を選びやすくなる、というくらいのメリットがある程度の認識で問題ないでしょう。


ピッチャーとしても、相手の背が高いか低いかに関わらず、しっかりと狙ったコースに投げ切るコントロールが、競技レベルが上がれば上がるほど重要になってくるため、早い段階からどんな相手でもストライクを取れる投球術を身に着けておく必要があるでしょう。

ストライクゾーンについてのよくある誤解


ストライクゾーンは、あくまでも「通常の打撃姿勢を取った時」の高さを基準としているため、バントの構えをして体をかがめたり、打席内で大きくかがむ、しゃがむといった行為を取ったりしたところで、ゾーンが狭くなるわけではありません。


また、アマチュアでは「低めの球はベース上を通り過ぎるまでゾーンを通らなければストライクにならない」という内規がありましたが、2009年に撤廃され、低めの球であってもストライクゾーンを一部でもかすめていればストライクになるという、統一された運用になっています。

ストライクゾーンは時代や環境によりに変わる


先述のように、ストライクゾーンは野球規則によりその領域がはっきりと決められていますが、その運用の実態は団体によって様々です。


プロレベルでも、例えばセ・リーグとパ・リーグの審判部が分かれていた時代には、両リーグでストライクゾーンの扱いに差があり、日本シリーズや交流戦で選手が困惑するようなケースも見られました。


その他、パ・リーグが試験的にボール1個分外角にストライクゾーンを広くしたり、全体的に高めを広くストライクにしたり(いわゆる「2002年シーズンの新ストライクゾーン」)と、試行錯誤が行われていた時代がありましたが、野球の国際化が進むにつれて、国際規格へと近づけるように変化していっているように見受けられます。


それでもやはり、NPBとMLBレベルであってもストライクゾーンにはかなり差があると言われており、来日間もない時期に日本のゾーンにアジャストできずに苦労する外国人選手は毎年のように見られます。


他方では、ストライクゾーンを厳密に運用するための様々な取り組みも進められています。


例えばMLBでは、映像解析などを利用して、「球審の評価」が行われています。


球審のストライク・ボールの判定と、実際の映像を分析した上での判定にどのくらいの差異があるかを測定し、あまりにも球審の判定精度が低い場合はマイナーリーグに降格させられるなど、ストライク判定の精度向上に取り組んでいます。


最新のセンサーやレーダーなどを使用した「ロボット球審」の開発も行われており、アメリカの一部独立リーグでは、実際に試験的な運用が行われました。


しかし、ストライクとボールの判定に曖昧な部分が見られるなど、まだまだ実用段階とはいえなかったようで、その後のマイナーリーグやメジャーリーグへの導入は未だ実現には至っていません。

少年野球(学童野球)のストライクゾーンが広がった?


学童野球に携わっている方々には既に周知の内容とも思われますが、2022年度より、学童野球(小学6年生以下対象)のホームベースサイズの拡大が決定されています。


これまで、学童野球では長年一般用よりも一回り小さいサイズのホームベースが使用されており、その分ストライクゾーンも小さくなっていました。


2022年度は経過期間として従来のベースの使用でも構わず(全国大会は一般用の使用を義務付け)、2023年度より一般用サイズのホームベースへの切り替えが義務化されます。


ピッチャーの負荷軽減と時間短縮を目的としたもので、試合の6イニング化などと合わせて実施されました。
従来の学童用ホームベースの横幅が38.1cmだったのに対し、一般用のものは43.2cm。


軟式J号球の直径は69mm±0.5mmのため、ボール約1個分ほどストライクゾーンの幅が広がったことになります。


投手にとってはストライクが取りやすくなり、体の負担も軽減される一方で、打者にとっては今までよりも広い範囲を振っていかなければならなくなるため、ゾーン感覚の修正が求められていく部分ですね。


また、練習試合等で球審を担当される方にとっては、2023年度になっても球場の改修が追い付かず「ベースは従来の学童用だがゾーンは拡大されている」といった部分への対応が必要になることも考えられるため、頭に入れておく必要があるルール改正でしょう。

「野球のストライクゾーン」おわりに


今回はストライクゾーンについての様々な話題を取り上げました。
皆さんの参考になる部分はありましたか?


「こんなテーマを取り上げて欲しい」といったご要望がありましたら、コメント欄にてリクエストをお願いします。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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