野球人口の減少を食い止めるための活動の実態とは?

野球の普及活動でどんなことが行われているのか? 断片的に知ることができてもどのくらいの頻度や規模で行われているのか、なかなか分かりませんね?

 

今回は野球の普及活動がどのように行われているのかのレポートをまとめてみました。

 

野球人口の減少に対する対策は?

 

野球界に関わる人にとって大きな問題と感じる野球人口の減少

 

成人の野球実施率は、2010年には11.5%(10人に1人の割合)だったものが、2018年には、7.2%と2010年の3分の2にまで減少した。

 

また、子どもの野球人口は、2010年に約29万人だった学童野球人口は、2020年には約18万人にまで減少した。

 

こういった野球人口の減少に関するニュースは多く耳にするものの、そういった野球人口の減少を食い止めるための活動については余り聞いたことがない。

 

しかし、SNSを見ると、日本各地で子どもへの野球普及のための活動や子どもたちに野球を通してスポーツを楽しんでもらう活動が多く行われていることがわかる。

 

草の根レベルでは多く行われているようだが、実際に行われている活動にはどのようなものがあるのだろうか。

 

野球団体による野球人口の減少を食い止めるための活動

日本のアマチュア野球をまとめる全日本野球協会日本野球機構(NPB)は、2015年に日本野球協議会を設置した。

 

この協議会は、「21世紀において、野球が広く国民に愛され、親しまれるために、普及・振興事業の充実をはかり、我が国最大のスポーツ文化としてさらに発展させていくこと」を目的に、野球界一丸となって野球の普及振興を行うために立ち上げられた。

 

日本野球協議会の普及・振興委員会では、野球界全体で行われている野球普及振興活動の実施状況を調査し、「野球普及振興活動状況調査」にまとめられ報告されている。

 

2019年に行われた野球普及振興活動をまとめた「野球普及振興活動状況調査2020」が日本野球協議会から2021年10月20日に公表された。

 

今回はこの報告書をもとに現在行われている野球普及振興活動の実態を読み取っていく。

 

2019年に行われた野球普及振興活動状は全部で約6,000回

 

2019年に行われた野球普及振興活動は全部で5933回だった。

 

その内訳を見ると、野球経験者を対象とした技術指導等を行う「野球教室」が最も多く、その回数は1,609回で全体の27.1%を占めた。

 

次いで、「訪問活動(野球体験)」1,307回(22.0%)、「地域貢献活動」682回(11.5%)、「体験活動」642回(10.8%)、「講習会」531回(8.9%)、「訪問活動(その他交流活動)」444回(7.5%)、「観戦招待」249回(4.2%)、「大会開催」153回(2.6%)、「授業研究会」68回(1.1%)であった。

 

2018年の活動と比較すると、総事業回数は増加し、特に「訪問活動」と「観戦招待」、「講習会」、「地域貢献活動」の回数は増加した。

 

これらの活動を実施した団体ごとに見ると、NPBの活動が最も多く2,635回、次いで日本野球連盟(JABA)が860回、独立リーグが735回、高野連が668回であった。

 

NPBでは、「訪問活動(野球体験)」が、JABAと高野連では「野球教室」が、独立リーグでは「地域貢献活動」がそれぞれ最も多かった。

 

2019年に行われた野球普及振興活動に参加した人口は約95万人

 

次に、野球普及振興活動に参加した人口は、96万5,179人であった。

 

活動の中で最も多くの人が参加したのは「観戦招待」で、29万9,312人で、次いで「野球教室」(17万9,319人) 、「訪問活動」(16万3,496人)、「体験活動」(14万2,444人)だった。

 

また、地域貢献活動は地域のお祭りへのボランティアなどの活動を含み、祭り参加者も野球普及振興活動の参加者に含まれるため、地域貢献活動の参加者についてはここでは述べない。

 

これらの活動を主催した団体ごとに参加人数を見るとNPBの活動が最も参加者多く、59万2,621人であり、全体の約61.4%を占めていた。

 

次に、独立リーグの活動が8万4,817人高野連の活動が7万7,796人JABAの活動が7万4,074人であった。

 

NPB及び独立リーグでは「観戦招待」の参加者が最も多く、JABAや高野連では「野球教室」の参加者が最も多かった。

 

野球普及振興活動の実施状況を都道府県別に見ると

 

野球普及振興活動の実施状況を都道府県別に見ると、NPBの球団がある都道府県に事業が集中していた。

 

また、愛媛県、高知県、徳島県など、独立リーグのある都道府県でも回数が多い場合があり、地域貢献活動の割合が高かった。

 

島根県や山梨県、奈良県、福井県といったプロ野球団がないところでは、野球普及振興活動の回数が30回未満と少なかった。

野球普及振興活動が多く行われていた都道府県を細かく見ると、東京都や神奈川県、千葉県、大阪府といった大都市でNPB球団のある都道府県では、幼稚園や保育園に行って行う「訪問活動(野球体験)」が最も多く、埼玉県や高知県では「訪問活動(その他交流活動)」が、愛知県や北海道では「野球教室」が多かった。

 

野球普及振興活動を対象別に見ると

 

野球普及振興活動を対象別に見ると、小学生を対象にした事業が3,091回で最も多かった。

 

次いで成人を対象にした事業が1,401回幼児を対象にした事業が1,125回の順に多かった。

 

小学生、中学生、高校生及び大学生に対しては「野球教室」の回数が最も多く、幼児に対しては「訪問活動(野球体験)」が、成人に対しては「講習会」が最も多かった。

 

野球普及振興活動の課題

現在行われている野球普及振興活動の課題を整理してみる。

まず、はじめに挙げられるのは、野球をしていない子どもたちを対象にした活動が少ないことだ。

 

2019年に行われた野球普及振興活動を見ると、野球経験者の子どもに対する野球教室に比べて、野球の体験活動の実施回数は半分以下だった。

 

 

今後、野球人口の拡大のためには、野球をしていない子どもに対して、いかに野球に興味を持ってもらうか、また、野球を始めてもらえるかがカギとなってくる。

 

次に、野球普及振興活動がプロ野球団のある都道府県に片寄って実施されていることだ。

 

NPB球団がある都道府県で実施された野球普及振興活動は11都道府県で3,367回だったが、NPB球団や独立リーグ、女子プロ野球団がない都道府県の野球普及振興活動の実施回数は、21県で1,033回だった。

 

野球普及振興活動には、プロ野球選手が講師として参加することが多いため、プロ球団がある都道府県に活動が片寄るのは致し方ないのかもしれないが、これでは全国的な野球の普及振興は叶わず、効果的な野球人口の拡大にはつながらない。

 

このため、今後の野球普及振興活動を行うポイントとしては、①野球をしたことがない子どもたちを対象とした普及振興活動を計画的に行うこと、②プロ野球団のない都道府県など、普及振興活動の実施回数が少ない都道府県での活動を増やすことの2点が挙げられるだろう。

 

参考資料:日本野球協議会(2021)「野球普及振興活動状況調査2020」

クリックしてreport_promotion_2020.pdfにアクセス

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