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中学生野球の現状 2024年度版

私と一緒に長らくチームのインタビューに同行していただいている南方氏の専門であるスポーツ政策である、学童・少年野球の人口をどのように増やしていったらよいかの一環で、今一番野球関係者の中で話題になっている、中学野球のに関してのレポートを寄稿していただきました。

中学校の部活の活動が制限されていく中、いろいろな形の軟式・硬式のクラブチームが誕生してきていますが、地域的な事情もあり、どれも決定的とは言えないようです。

目次

中学軟式野球部の現状

南方隆太氏
山梨学院大学・特任助教
スポーツ政策学を専門とし、競技人口政策をテーマに研究をしている。
現在は、社会人野球クラブでプレーヤーを続けながら野球人口の維持・拡大のためにプロ野球から学童野球まで調査・研究をしている

 “学童野球から中学軟式野球部、高校から硬式野球”

これまで、野球をする子どもたちにとって中学軟式野球部を経験することは普通であった。しかし、近年は「中学の部活では満足にプレーできない」「ちゃんとした指導を受けたい」そういった声から、中学軟式野球部を選択しない道が増えている。

中学生軟式野球部員数の実態は?

中体連の登録者数をみると、2001年には中学生軟式野球部員は32万2,529人(男子:32万1,929人、女子:600人)在籍していたが、2004年には29万9,226人(男子:298,605人、女子:621人)と30万人を切り、2023年度には13万3,725人(男子:12万9454人、女子:4271人)にまで減少しており、22年間で19万人ほど減少している。

特に、2012年から2016年までは年間約2万人ずつ減少しており、野球人口の減少に大きく関わる期間かもしれない。そして、2001年から2023年までの男子のみを算出すると、その減少数は20万人を超える。

ただし、男子はこれまで減り続けてきたわけではない。2004年から2009年にかけて、29万8,605人から30万7,053人にまで増加していた。昭和をピークに減り続けたわけではなかったのである。2007年を境にその後は減り続け、2013年にはサッカー部(男子)に部員数を抜かれてしまった。

(日本中学校体育連盟 加盟校・加盟生徒数調査集計表を基に筆者作成)

女子部員は増加中?

 一方で、女子野球部員は増加し続けている。2001年の女子軟式野球部員は600人で、2004年までは横ばいだったが、その後2012年まで増加し続けて1,886人まで増加した。

何度か減少したが、その増加傾向は現在まで続いており、2023年には4,271人にまで増加している。ただし、その伸び幅は少しずつ小さくなっている。今後も競技人口を拡大するためには、全国各地での普及振興活動が必要となるだろう。

合同部活動の増加

 軟式野球部の合同部活実施数は2002年に初めて計測された。その後少しずつ増加していき、2011年には120校に増加し、2015年には一気に260校に増加した。合同部活動は急激に増え始め、2023年には1162校となった。

2020年・2021年は合同部活数が減少しているが、これはコロナの影響で廃部に追い込まれた部活動があることが予想される。

(日本中学校体育連盟 加盟校・加盟生徒数調査集計表を基に筆者作成)

合同部活動はどの地域で多い?

 

 中体連による令和5年度加盟校・加盟生徒数調査によると、2023年の合同部活動を47都道府県別にみると、北海道が最も多く(146チーム)、次いで神奈川(63チーム)、千葉(59チーム)が多かった。

一方で、福島では合同チームがなかった。地方の過疎化・少子化が進み、指導者不足も相まって合同チームが多いと思われるが、そのような差はない。ただし、すでに廃部になり、合同チームも作れない状態である可能性も考えられるため、各地の様子を調査する必要があるかもしれない。

赤:100~ 橙:50~ 黄:30~ 黄緑:10~ 水色:10以下
(日本中学校体育連盟 加盟校・加盟生徒数調査集計表を基に筆者作成)

筆者:南方隆太(山梨学院大学)

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