学童・少年野球人口の減少に関してのレポート

前回は、野球の指導者制度に関しての考察でしたが、今回は一番の話題になっている学童野球の減少に関してのレポートを寄稿して頂きました。ご参考になれば幸いです

目次

子どもの野球人口は減り続けている?

近年、野球界で何かと問題に挙がる競技人口の減少。10年前や20年前では全く考えられなかった事だが、2015年頃から次第に指摘されるようになった。

 

なかでもプロ野球界から子どもの野球人口の減少を危惧する指摘がでたことは、とてもインパクトがあった。

 

さて、それでは、子どもの野球人口はいつから減少していて、どの程度減少しているのか、はたまたその減少にはどのような特徴があるのだろうか。

 

 

野球人口が減少していると言われても、それを深く調べたことがある人はほとんどいないだろう。今回は小学生軟式野球に絞って見てみることにした。

 

 

小学生軟式野球人口の減少が起きたのは2010年以降?

 

小学生の野球人口といっても、連盟やチームに所属してない人口を明らかにすることはできない。今回は全日本軟式野球連盟の学童チームに所属する小学生の数を野球人口とした。

 

図1 小学生野球人口の変化

 

最初に目を引くのが1975年から1979年にかけて大きく増加し、1980年から1982年にかけて大きく減少したことではないだろうか。

 

この減少は、全日本軟式野球連盟(以下:全軟連)へのチーム登録に登録料が発生したことが主な原因であり、実際に野球人口が大幅に減ったわけではない。

 

次に、2017年から2018年にかけて約16%減少している。

これは、2017年まではチーム数×20人の推定値を選手登録者数としていたものを、2018年から選手登録者数の実数を調査するようになったからである

 

これまでの野球人口の動態をみると、1980年以降、約10年ごとに軽微な増加と減少を繰り返している。

 

1980年代には、1981年と1982年に大きな減少があったものの、それ以降は1991年まで毎年少しずつ増加している。

 

 

次に1990年代は、1991年に前年比1%の減少があり、それ以降0.1%~3.3%の減少が続いた。

 

特に1994年から1997年にかけて約10%も減少している。

 

2000年代には、大きな変化はなく、横ばいが続いた。

 

2010年代になると、小学生軟式野球人口の減少は大きくなり、2011年から2014年にかけて約15%も減少している。

 

2010年に29万6,480人だった人口は、2020年には18万7,015人になり、10年間で10万人減少した

 

この減少はこれまでに類を見ないものであり、危機的な問題だと言えるのではないか。

人口減少と比較すると違う視点が

日本は少子高齢化社会にあり、子どもの数は減少し続けている。

 

 

子どもの野球人口が減少しているといっても、子どもの減少と比較し、相対的な変化を見たらどうなのだろうか?

 

 

今回は、文部省及び文部科学省による学校基本調査の小学校生徒数を小学生の人口と定義し、全生徒数に占める野球人口の割合を野球人口率と表し、1990年から2020年までの30年間の動態を分析した。

 

図2 小学生野球人口率

小学生軟式野球人口だけを見ると、1990年代は減少していたが、全生徒数に占める割合をみると、1990年から2010年まで増加し続けている。

 

1990年に野球人口率は3.65%であったが、1999年には4.0%を超え、2010年には4.24%になった。

そして2010年代にはいると、2012年までは4.1%を維持し、横ばいにあったが、2013年には4%を割り、明確に減少が始まった。

 

そして野球人口の算出方法が変わった2018年には前年から約0.5%と大きく減少している。

 

このことから、以前から20人未満で活動するチームが多く、数字に表れない減少が起きていたことが想定できる

野球人口の減少についてまとめると?

 

小学生軟式野球人口の変化をみると、1990年代に一度減少し、2000年代にそれが回復、2010年代から再び減少し今に至る。

 

しかし、少子化の影響を考えた相対的な変化では、2010年まで増加傾向にあった。その後2012年までは横ばい傾向にあり、2013年から減少が始まった。

 

また、2018年に小学生軟式野球人口の算出方法を変更したところ、大幅な減少が見られた。

これは、1チームあたりに所属する野球人口が減少していることが指摘できるのではないか。

このことから、2010年以降の野球人口の減少には、

 

①1チームあたりの人数が減少➠②満足に試合ができないチームが増加➠

③満足に野球ができなくて辞める人口が増加➠④チーム数が減少➠

⑤競技実施現場の縮小、➠⑥更なる競技人口の減少

 

という流れが考えられる。

 

このことから、小学生の軟式野球人口の減少を食い止めるためには、野球を満足にできる環境やチームの活動を活発にする対策が必要となるのではないだろうか。

 

〇筆者紹介
南方隆太(みなみがた りゅうた)
筑波大学大学院博士後期課程に在学しており、スポーツ政策学の視点からスポーツ人口の増加(スポーツ人口政策)について研究している。現在は、自身が社会人硬式クラブでプレーする野球の競技人口減少に危機感を抱き、野球競技人口政策の策定に向けた研究をしている。

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